2026年5月号|実装フェーズへ動き始めた欧州
Kozue Nishizaki Kozue Nishizaki

2026年5月号|実装フェーズへ動き始めた欧州

今月のサーキュラーエコノミーをめぐる動向から見えてくるのは、「政策の方向性」から「実装とシステム設計」への明確な移行です。

2026年5月21日、欧州委員会は改正EU廃棄物輸送規則(Waste Shipment Regulation)の主要条項を施行するとともに、EU全域で利用されるデジタル廃棄物輸送システム「DIWASS(Digital Waste Shipment System)」の運用を開始しました。これにより、国境を越える廃棄物輸送の手続きと追跡管理が電子化され、二次資源市場における透明性とトレーサビリティ強化が大きく前進しました。

また欧州委員会および欧州委員会共同研究センター(JRC)では、繊維分野を含む二次資源市場の整備に向けて、End-of-Waste(廃棄物性の終了)基準に関する議論が続いています。再生資源を「廃棄物」ではなく市場で流通可能な資源として位置付けるための制度設計は、循環型市場形成の基盤となる重要なテーマです。EUが準備を進めるCircular Economy Actの議論とも重なり、今後の制度設計の方向性が注目されています。

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【日欧GXインサイト】PRS Europe 2026に見る欧州リサイクル規制の変化
Kozue Nishizaki Kozue Nishizaki

【日欧GXインサイト】PRS Europe 2026に見る欧州リサイクル規制の変化

2026年5月5日・6日にアムステルダムで開催された「プラスチック・リサイクル・ショー・ヨーロッパ(PRS Europe)」。10周年となる今年の現地での議論を肌で感じて確信したのは、欧州のサーキュラーエコノミー(循環経済)が、もはや「環境保護」という善意のフェーズを完全に終え、厳格な法的規制を背景とした「巨大な規制産業」および「資源安全保障戦略」へと完全に移行したということ。

欧州委員会(EC)が推し進める包装・包装廃棄物規則 [包装・包装廃棄物規則(PPWR)などの制度設計は、単なる環境負荷低減にとどまらず、二次資源の確保を巡る地政学的戦略としての側面を強めている。本稿では、登壇した専門家たちのリアルな証言をベースに、プラスチックリサイクルの技術的限界や、欧州が仕掛ける「域内資源の囲い込み戦略」の裏側を冷徹に分析。その上で、日本の産業界やサプライチェーンが今後どう舵を切るべきか、3つの戦略的針路を提示する。

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